津軽野 地吹雪の中をゆく- 中泊・中里辺り

白い魔物

荒れ狂う天候とは、このような日のことか。カメラを持つ手も、体も、
自由が効かず、早くどこかの家に駆け込み暖を取りたい。フィルム巻
き上げレバーを回すとバリバリと嫌な音がする。フィルムを交換した
いが、どこですれば良いか。畑の一角に作業小舎を見つけ、軒下で背
中を丸めるるようにして何とか交換を終えた。

容赦なく体に打ち付ける雪、強い風とともに横から、足下から、
吹き上がるように襲ってくる。
風の音が、姿の見えない魔物の叫び声に聞える。

氷ついたような家だ
地吹雪 吹荒れる日に 、老婆がひとり歩いてくる
「春よ 遠き春よ 瞼閉じれば そこに…」