太郎兵衛平ー薬師沢ー高天原にあそぶ

折立は今日も雨だった
富山駅前のホテルで目覚めたとき、窓の外は雨だった。昨日の夕焼けは
何だったのだろう。
富山駅から五時三分発の電車に乗り、有峰口で下車、そこで今度はバス
に乗り換えた。雨の中を走る満員のバスは気が重い。この先が思いやら
れる。そんなことを考えていると、ようやく有峰湖が窓外に見えてきた。
終点の折立に着いた時には、雨は増々強く降ってきた。まるで天の底が
抜けたかのようなドシャ降りの雨だ!

 

太郎兵衛平の夕暮れ

奥に見える山は薬師岳。写真中央に太郎平小屋が見える。

 

太郎兵衛平までは辛抱が大事 !?
折立から今日の目的地太郎平小屋までは、ダラダラの登りを五時間歩く。
天気が良ければ薬師沢小屋まで行けるかな、と考えていたのだがそれは
ドシャ降りの雨では無理というもの。黙々と歩く。登山道はよく整備さ
れていて歩きやすいので、それだけは救いだった。周りの景色はほとん
ど目に入らない。ひたすら地面を見ながら歩く。

午後三時前に太郎平小屋に到着する。寝床を割り当てられてから、雨合
羽と登山靴を乾燥小屋に持ち込んで干す。それからカイコ棚のようなベ
ッドで一休みする。
雨が止んだのを見計らい、カメラを持って小屋の周りの景色を撮影する。
ここで薬師岳を眺める。大きな、大きな山である。

 

黒部川

 

いざ 神々の集う高天原へ
翌朝は、昨日とは打って変わり快晴だった。
太郎兵衛平からの登山コースは三つある。①薬師岳へ登るコース、②北
ノ俣岳を越え黒部五郎岳へ至るコース、③そしてわたしがこれから向か
う高天原へ至るコースである。①の薬師岳を登り立山に至るコースには
大きな魅力を感ずるが一人では心細いし、今回目指すものとは違うので
それはまたの機会に。②のコースは展望も良さげで大いに魅力を感ずる
が、それもパス。
③は高天原という名に魅かれた。神々が集うというよりは、汗臭い山男
が集う「別天地」のような気がするけど、まずは行ってみよう。高天原
温泉という露天風呂があるというのも、温泉好きには無視するわけには
いかない。

 

薬師沢出合付近の黒部川

 

 

 

 

 

 

いつかは上ノ廊下へ
薬師沢出合で河原に降り、黒部川に沿って下流へ歩く。天気は良すぎる
くらいだ。ピーカンはフジのベルビアには辛い。梅雨時にはこのフィル
ムを使うことが多い。ISO感度は低めだが、雨の日のコントラストと深
味のある緑色が好みなのだ。
黒部川沿いのコースを選んだのには理由がある。いつかは上ノ廊下へ立
入ってみたい、という願望(妄想?)があるからなのだ。岳人憧れの上
ノ廊下の片りんだけでも味わってみたい、という気持ちからなのだ。

 

キヌガサソウ

この時期、登山道わきでよく見かけた。綺麗というほどではないが、
大きな葉が印象に残ったので撮影。

 

高天原

 

 

 

秘境の温泉と お花畑
高天原峠を越えると後は下るばかりであった。単調な樹林帯を抜けると、
そこはお花畑と池塘のある別天地である。太郎兵衛平からここまで七時
間強か。河原を歩くことさえ厭わなければ、初心者でも十分歩けるコー
スである。ご褒美には、お花畑と水晶岳の景観、それに露天風呂(ご婦
人用に囲いのある風呂もある)と美味しい夕食が待っているのだ。

 

 

これより高天原で風月花を楽しむ。雲が出てきたのがチョット気になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

水晶岳

高天原山荘前から望む。

 

 

 

 

 

山荘前からこの景色を眺め、冷えたビールを飲み、山仲間とお喋り
ができるのだから、雰囲気は山小屋の中でも最高の部類に入るので
はないだろうか(山上から眺める北アルプスとはまた趣が異なり面
白い)。
高天原山荘は、清潔感ただよう素敵な小屋だった。ここの米飯が美
味しかったことは、後々まで長く記憶に残っている。

 

 

 

高天原温泉
高天原山荘から北へ十五分ほど歩けば露天風呂がある。日本一遠いところ
にある温泉と言われているようだ。標高は二千百メートルと言うから結構
高い位置にある。折立から温泉までは、歩いて二日かかるので健脚向きの
温泉と言えるかも知れない(あいにく写真は撮っていない)。

 

高天原夕暮れ

明日の天候に期待を寄せる…

 

竜晶池

入山三日目の朝、ザックを小屋に置き、三十分ほど北に歩いて夢ノ平
にある竜晶池に向った。天気は曇りがちで山から吹き下ろす風が強い。
池の周りは疎らに花が咲き、いい雰囲気だった。

 

 

 

 

 

時おり朝日が射し、木々が輝く。

 

 

吹きおろしの風に木々がざわめく。

 

 

チングルマとワタスゲの名残り。ミズバショウの花期はすでに終えていた。

 

 

 

 

コバイケイソウ

 

今日これから目指すところが核心部の雲ノ平である。これから待ち受ける
困難も知らず、のんびりと写真撮影に没頭しているわたしであった。
※続きます…

撮影年月:1991.7

 

 

 

 

 

    太郎兵衛平ー薬師沢ー高天原にあそぶ” に対して 2 件のコメントがあります

    1. koji-kame より:

      手作り感のある露天風呂は結構いいです。歩いて往復四日はちと遠いですが。

    2. ken より:

      素晴らしい景色と露天風呂は最高でしょうね。

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