花の北山を歩く ー 森の中へ

 

森の中へ
の光を浴びて黄緑に輝く若葉は、春を迎えた歓びでいっぱいのように見える。
この季節、森の中に分け入り地面に積る枯葉を踏みしめて歩くと 小さな花たち
が光を浴びようと顔をもたげている姿が目に入る。まだ消えていない露に濡れた
花弁や緑濃い葉が愛おしく感じる。
梅雨時のとある一日、好んで森の中に入る。小川の際に生えているシダや名も知
らぬ草花が雨に濡れて光っている。まるで生き物のようだ。そこには嬉々として
レンズを向けてシャッターを切るわたしがいる。

、ひとり川を遡行し小さな空き地を見つけテントを張る。きっと数km四方に
は誰もいないであろう。ふと寂しい思いに囚われるがそれは望んだことでもある。
夜になれば蛍の放つ明かりが三つ四つ。この時期、こんなところに蛍が出るのだ、
と不思議な気分になる(テント越しにゆらゆらと浮遊する光を見た時には火の玉
かと思ったものだ)。早々と狭いテントの中で横になるがなかなか眠れない。
テントの周りでカサコソと物音がするので目が覚める。キツネか狸でも徘徊して
いるのだろう。

ろくに眠れぬ夜を送り、早い朝を迎える。テントから首を出すと、あたりは朝靄
に満ちていた。予期していなかったので、慌ててカメラを持ちだし、朝靄が消え
ぬうちにと気が急いた覚えがある。しばらく経つと朝靄は森の彼方に消えていっ
た。

 

 

新緑のとき

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

静寂の朝

 

 

 

 

 

 

 

光芒

 

 

 

静謐な時

 

 

 

 

 

 

 

森の中

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雨の日

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

森の中を歩いていると、ふと何者かの気配を感じることがある。見られて
いるような気がして、全身震えに襲われることがある。手にしていたカメ
ラを落として故障したこともある。動物が見ているのだろうか、あるいは
森に住む“魔物”が見ているのか不思議な感覚である。そんな時は、大抵道
に迷い さ迷っているときだ。心の中に潜む“魔物”が首をもたげているか、
あるいは不安感がもたらしているのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝露に濡れる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バイケイソウ

 

 

 

オニシダ

 

 

 

 

初夏のころ、オニシダの葉がロート状に天に向って開いている姿は、
「もっと光を!」と言っているように見える。

 

 

 

 

 

 

オニシダ群生

 

 

 

 

 

 

 

湿原

この湿原でキツネが狩りをする姿を見たことがある。地面の匂いを嗅いでは
幾度もジャンプしモグラか野ネズミを狩っていた。狩りに熱中するあまり、
わたしの姿には気付いていなかったようだ。

 

 

野田畑湿原

ワタスゲの群落が風に揺れる。

 

 

 

 

 

 

ワタスゲ?

二週間前には、まだまだ花は咲かないと思っていた。次に行ったときには
すでにワタスゲの花期は終えていた。気を取直し花も綿毛も無くなり、茎
ばかりになったワタスゲを撮影する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

渓流

 

 

 

 

北山の山襞には無数の谷が縦横に走っている。彼方の谷水は日本海へ
流れ、此方の谷水は太平洋へ流れ込むという具合で複雑な様相を呈し
ている。北山の谷は、下流域では稀に水害をひき起こすが、概して緩
やかな流れで釣り愛好家には好まれているようだ。

 

 

 

 

 

 

 

アソガ谷

アソガ谷下流域には、見過ごされそうな小さな滝がある。勇気を奮って
谷へ降りてみると、岩を穿った滝は見ごたえがあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

灰屋川

阪神大震災に前後してこのあたりでも群発地震が起きていた。
山崩れもあって道路は通行止めになっていた記憶がある。活断層
があるのかもしれない。灰屋川は中流域に一部深い谷がある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

貴船川

貴船川は、上流には貴船神社が鎮座し そこには水の神様が祀られている。
貴船川は少し下流に下ると花背峠を源とする鞍馬川に注ぎ、市原の集落を
横断して雲ケ畑川と合流し、川幅は一段と広くなり加茂川と名を替える。
その加茂川は南に一直線に下り、下鴨神社の南で今度は高野川と合流し、
字の違う鴨川と名を替えるのだ。普段三条大橋や四条大橋から眺める清流
は、この「鴨川」である。

 

撮影年:1980~1990年代

 

 

 

 

    花の北山を歩く ー 森の中へ” に対して 2 件のコメントがあります

    1. ken より:

      深い山の中で夜一人でいるのは怖い気がしますが一方で憧れたりもします。
      僕は山の知識がないので夜に山には行けないでしょう。
      ただ、昼間でも一人山の中を歩いている時に、誰かに見られている感覚は何度か経験しました。
      臆病な僕には昼間の山で精一杯です。

      1. koji-kame より:

        コメント有難うございます。
        若かったから一人でもテント泊ができたのでしょうね。
        今の私には出来ません。ホタルの話ですが、ビニール
        テント越しに見る蛍の光は、まさに芝居で見た火の玉
        と同じでゾッとしました。
         kame

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