風雪に耐える家々

 

 

写真撮影の目的
写真撮影の目的は、津軽地方に住む人々の生活が見たい、
働いている姿を写真に撮りたいということであった。
いまネガを見直してみると、随分と景色や家を撮影して
いたことが分る。人間にしか興味がなかったはずなのに
である。

 

 

 

 

 

 

 

「かあさんが
夜なべをして
手袋あんでくれた
木枯らし吹いちゃ
冷たかろうて…」

 

 

 

「かあさんが
麻糸つぐむ
一日つむぐ
おとうは土間で
わら打ち仕事…」

 

 

 

「かあさんの
あかぎれ痛い
生みそを すりこむ
根雪もとけりゃ
もうすぐ春だで
畑が待ってるよ
小川のせせらぎが
聞こえる…」

 

 

 

抜粋して紹介した詩は窪田 聡さんの作詞である。
子どもの頃、毎夕テレビを通して流れていた歌と記憶している。
その歌を作曲した窪田 聡さんとは、かつて同じ音楽団体に所属
していたことがある。年に一二度総会などで顔を見かけること
はあっても、一度も話をしたことも声を聞いたこともなかった。

 

 

 

窪田 聡と「かあさんの歌」
初めて窪田さんを見かけたのは会議の場であった。「あの人が
『かあさんの歌』をつくった窪田さんだよ」と友人から教えて
もらった時は実に不思議な感じがした。相当にお年であろうと
想像していたが、実は私と一回りくらいの年の差と感じたから
である。小柄な体にもじゃもじゃ頭で、物静かな人だなと思っ
たものだ。風の便りで西日本のとある町で合唱団を指導してい
ると知ったが、お元気だろうか。

 

 

 

夜なべ仕事
ところで、この歌を紹介したわけは、長い冬を過ごす土地では
一冬のあいだ歌のような夜を迎えるからである。一家総出で囲
炉裏のある土間で縄を結ったり、ムシロを織ったり、乾燥を終
えたトウモロコシの実をほどいたりしたものである。当然子ど
もも手伝うことになる。
私は冬になると、その手伝いが嫌でイヤで仕方がなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

撮影していた当時、私は大都市に住んでいて色々と考える
ところがあったのだと思う。どんなことを考えていたか、
思い出すことはあるのだが、いまになってみると感傷と稚
拙な行いばかりが頭に浮ぶ。

撮影後、ネガは半世紀ほど木箱に仕舞われたままであった。
いまここで、少しでも多くの方に見ていただければ、ネガ
にたいして申し訳が立つかもしれない。