吹雪く小泊道

 

 

かつては数多くの牛馬が木材や米を乗せて十三湊や小泊へ運び、
にぎやかな通りであった小泊道。数百年の時を経て、撮影当時
はその見る影もない。ただ風だけが街道を通り抜けていく光景
は、凄まじいまでの寂寥感であった。

 

 

 

四季を通して二年間、幾度この道を歩いたであろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本海を渡り来る風の凄まじさは、露伴翁の文をもって代えよう。
「…むかしは風すさまじく烈しくして、水の上はもとよりの事、陸(くが)
の住居さへ安きを得ざりしなり。其故を如何にといふに、礙(ささ)ふる
ものなき日本海を渡り来る風の直に此方に衝き当ることなれば、其勢の猛
きこと喩ふるに物も無きほどにして、石礫(じゃり)を飛ばし土砂を捲き、
天(そら)を晦(くら)うし地を撼(うご)かし、行客を倒し民家を埋め、
人をして如何ともすべからざるを歎ぜしむること、秋冬は一ト月に二度三
度のみならざりしを以てなり。」…『遊行雑記』より

※撮影年:1970年代