津軽の冬 - 遠い道 長い夜(陸奥旅)

 

みちのく放浪

陸奥の国へ修行して

まかりけるに、白川の関にとまりて、

所柄にや常よりも月おもしろくあはれにて、

能因が「秋風ぞ吹く」と申けん折、いつなりけんと思出でられて、

名残多くおぼえければ、関屋の柱に書付けける

 

 

 

 

 

 

 

白川の関屋を月の漏る影は

人の心を留むる成けり

 

 

 

 

関に入りて、信夫と申すわたり、あらぬ世の事におぼえて

哀れなり。都出でし日数思ひ続くれば、「霞と共に」

と侍ことの跡辿り詣で来にける、心一つに思知られて詠みける

 

みやこ出でて逢坂越えし折までは

心かすめし白川の関

 

 

 

 

 

※引用はすべて『山家集』