蓮華寺 侘びのかたち Renge-ji Temple “Wabi-sabi”

 

蓮華寺と花の名を冠した小さな寺は洛北上高野にある。すぐ南には高野川、東南
の方角には比叡山がそびえる。春や秋には観光客で混雑するが、その季節を外せ
ば庭を見ながら静かに瞑想にひたれる寺である。京都駅からは京都バスで小一時
間はかかるであろうか。大原三千院や寂光院の帰りに立寄る計画を立てるも良い
し、近くには近年人気のでている瑠璃光院もあるので、京都観光にゆとりがある
のなら、一度は拝観をおすすめしたい。

 

 

 

 

 

 

参道

山門をくぐると、石畳の参道を通り、拝観入口を兼ねた庫裏にいたる。

 

 

 

拝観入口

こじんまりとした趣のある入口である。

 

 

 

花頭窓

 

 

 

 

 

 

 

 

 

庫裏

拝観を終え帰ろうとしたところ、西日が差して美しい設えの影が浮んだ。

 

 

 

書院

庭園南側を望む。

 

 

 

庭園

池泉鑑賞式の庭園で、春は青モミジ、秋は燃えるような紅葉が池に映え美しい。
庭木にはあまり人の手を加えず、自然な感じを出しているという。

 

 

 

 

 

京都の寺院、とりわけ庭園の魅力はどこにあるのだろうか。
春は青モミジ、艶やかに咲く牡丹やサツキ、秋には赤く染まるモミジの紅葉。
比較的色彩の乏しい夏であっても睡蓮やサルスベリの白と赤い花が訪れる者
の目を楽しませてくれる。…では冬はどうであろうか。
冬であっても華は咲く。冬こそ庭園と向き合うよい機会なのだ。ひとまずカ
メラやスマホは脇に置き庭を眺めてみよう。

 

 

 

 

寺院の庭には、曼荼羅と同じように「世界観」が表れている。そう思えるの
だ。枯山水にしろ、池泉鑑賞の庭にしろ、作庭者の世界観の表れに違いない。
蓮華寺の庭には、型どおりに「蓬莱山」があり、「亀石」「鶴石」と三つの
アイテムが揃っている。そして珍しい「入船」もある。
では、蓬莱山はどこにあるのだろうか(琵琶湖畔にある蓬莱山ではないようだ)。

 

 

蓬莱山

山の両脇には鶴石と亀石が鎮座する。

 

『竹取物語』は誰でも知っている日本最古の物語である。その中に“かくや姫”
に求婚してきた五人の貴族のひとり“車持の皇子”(くらもちのみこ)に「東の
海に蓬莱という山あるなり。それに銀を根とし、金を茎とし、白き玉を実とし
て立てる木あり。それ一枝おりて給わらん」と、かくや姫は難題を出す。
その東の海にある山が蓬莱山である。

 

 

蓬莱山と鶴石

手前の石が此岸に向かう入船であるという。

 

蓬莱山があるのは、中国大陸から見て東の海である。それも海上に浮かぶ
のではなく海の中にあり、山の洞には不老長寿の仙人が住むという伝説の
山である。
蓬莱山の傍らには必ずといってよいほど鶴石、亀石があり(これはお約束)
「鶴は千年、亀は萬年」といい長寿の象徴。昔の人は長寿を願ったのだ。
「齢九十に達してなにが目出度いものか」という現代とは違うのである。

生きていくのが大変な時代(今も変わらんけど^^;)せめてあっちの世界
では楽しく生きたい(?)、苦しみの無い極楽浄土へ往けるよう望んでい
た。その願望が庭づくりに表れていると見るべきなのかも知れない、とワ
タシは妄想している。能書きは忘れて庭に向い目を閉じてみよう。…さて
何が見えてくるだろうか。

 

 

 

書院を出て庭の中を歩いて見よう。

 

 

 

 

 

 

 

 

土蔵

 

 

 

 

 

明治に入るまでは、寺子屋として使われていたという。

 

 

 

 

 

 

 

 

参道

庭園出口の参道両脇には珍しい形の石灯篭が建っている。

 

 

 

蓮華寺型石灯篭

 

 

※撮影年代:1980年代  修学旅行生の団体拝観は「お断わり」なので注意。