北八ヶ岳の森を歩く(秋)

 

“南八ヶ岳を動的(ダイナミック)な山だとすれば、北八ヶ岳は静的(スタティック)
な山である。前者を情熱的な山だといえば、後者は瞑想的な山だといえよう。
北八ヶ岳には、鋭角の頂稜を行く、あの荒々しい興奮と緊張はない。原始の匂いのす
る樹海のひろがり、森にかこまれた自然の庭のような小さな草原、針葉樹に被われた
つつましい頂きや、そこだけ岩塊を露出しているあかるい頂き、山の斜面にできた天
然の水溜りのような湖、そうして、その中にねむっているいくつかの伝説――それが
北八ヶ岳だ。……
さまよい――そんな言葉がいちばんぴったりするのが、この北八ヶ岳だ。”
…山口輝久著『北八ッ彷徨』より

 

縞枯山

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『北八ッ彷徨』という本があることは、山歩きの好きな者なら知っていることと思う。
だいぶ以前に手に入れようとしたが、長らく絶版になり入手できなかった。
秋の一日、北八ヶ岳を歩いた後 黒百合ヒュッテに宿をとった。その小屋の書棚にあ
ったのである、『北八ッ彷徨』が。多くの岳人が読んだであろう 古色のついた本で
あった。持って帰りたい衝動に駆られたが、そこは理性がはたらいたようである。
その場で貪るように読んだ。

絶版後二十年が経ち、新版の『北八ッ彷徨』が出た。私が読んだ本は2008年初版1刷
(新書版)とある。十年前に読んだ本を再び探し出した。

 

 

 

 

 

 

 

白駒池周辺の森

 

 

 

 

 

北八ッでは多くの種類の苔を見ることができる。

 

 

 

倒木更新

樹木の根元の穴は、倒木の上に種子が落ち、芽を出したことにより出来たのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

双子池

 

紅葉が待ちきれず台風一過の九月の上旬、登山道に覆い被さった倒木の上を乗り越
え、或いはくぐり抜けて双子池を目指した。予想に違わず、少しばかり紅葉には早
かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

“十月のなかば、双子池の池畔は燃えるような落葉松の黄葉であった。池の東北岸一帯
に傾斜する落葉松林がいっせいに黄葉して、それは満開の黄葉といってもいいほどの
見事な美しさに溢れていた。”
“あっ、と驚くようなすばやさで、いきなり風景の転調がおこなわれた。静止した落葉
松林がいっせいに動いた。私たちは足を止め、息をのんだ。…… 風と雪と乱れ飛ぶ落
葉松の落ち葉の、すさまじい狂乱の舞台だった。風に吹き払われる 金色の落葉松の葉
が舞い狂う雪と一緒にいちめんに空を飛び散っていた。”
…『北八ッ彷徨』より

私が双子池を訪れたとき、落葉松の葉の金色に舞う姿は、まだ見ることは適わなかっ
た。それを見ることができるのは広葉樹の紅葉が終わったころである。たとえ見るこ
とができたとしても、その舞姿を写真に留めることは至難の業であることは経験済み
である。

 

 

 

 

 

 

 

七ッ池

 

 

 

 

七ッ池

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

晴れた日の七ッ池も良いが、私は雨の日の七ッ池に魅力を感じる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

林床の植物

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

北八ッで見かけるこの植物(大モミジグサ?)の黄葉は目の覚めるような黄色で
あった。

 

 

 

白駒池

 

高見石からの眺望である。画面左端の赤い屋根は青苔荘。青苔荘には幾度もお世話に
なった。
小屋の主は個性的な性格の人物であった。時おりテレビでその姿を拝見するが、大分
アクが抜けてきた感じがする。いつぞやは「えっ、泊まるんですか?」ときた。
「泊まれないの?」とワタシ。泊めてもらったが、もっと早く来て欲しかったらしい。
その理由は、宿泊者に満足してもらうには料理する時間が欲しいということのようだ。
宿泊者は私ひとりだったため、得体の知れないアルコール飲料をご馳走になった。
二種類の飲み物をブレンドした”プレミアム飲料”であった。美味しかったことは保証
するが、翌朝に頭が痛くなっても保証の限りではない。
特筆すべきは、トイレである。『陰翳礼讃』を読んでいたのか、紳士用の木製(?)
の朝顔には何と青々とした杉の葉が置かれてあった。うれしい心配りである。

 

 

白駒池

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白駒池には周遊路があり小一時間で回れる。

 

 

 

 

厳冬期には一面雪と氷に閉ざされる。

 

 

 

 

 

 

 

 

白駒池ご来光

朝日が出るまでの湖面の色が神秘的であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

蓼科山

坪庭から見た蓼科山。近くに見えるが急勾配で登るのはきつそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

雨の日の坪庭

 

 

 

 

北八ッ夕景

蓼科山の奥に見える山並みは北アルプスのようだ。

 

 

諏訪市街夕景

遠くに見える山は御嶽山。

 

 

※撮影年:1980年代 冬季の写真は後日投稿を予定しています。