大台ケ原山 大杉峡谷7(茗溪大杉谷へのアクセス)

山高きが故に貴(たっと)からず、というのなら、
谷深きが故に貴からず、と言い換えるのも、ありかもしれない。
大杉谷は茗溪である。雨や雪の多い日本には名渓数あれど、大杉谷のように
断崖に幽邃な原生林を見ることが出来、容易に河床に降り立ち、名瀑、名石
を手に取るように鑑賞することができる。そして釜や淵に見られる吸い込ま
れるような青緑色、このような谷はそうそう無いであろう。

大杉谷には、大小百もの滝があるという。隠れた滝を見に行き、帰って来れ
なかった人がいた、と言う話を幾度も聞いたことがある。かつての危険極ま
りない桟道は無くなり、整備された危険の少ない探勝路に替わったが、それ
でも滑落事故は後を絶たない。後ろを歩いていた人がいつの間にか姿が見え
なくなり、その日桃ノ木小屋に現れることはなく、数日後に谷底で発見され
た、と言う話を関係者から聞いた。大杉谷で遭難した人の話は数知れない。
黒部峡谷に次いで人気のある谷ではあるが、谷の深さは黒部峡谷ほどではな
いにしても、油断は禁物の谷である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大杉谷探勝は、奈良県側の大台ケ原山から下る道と、三重県側の宮川沿い
に登る道の二つの方法がある。アプローチが長いので二泊の行程で予定を
組みたい。谷沿いの山小屋は堂倉に一カ所、桃ノ木に一カ所あり、避難小
屋も充実している。
七つ釜の滝、千尋の滝、ニコニコ滝と名瀑はいくつもあるが、私の好きな
ところは、ニコニコ滝のあるシシ淵である。四季を通して美しいところだ。
時間が許すなら、せめて半日この場所で過ごしてみたい。今回の写真はシ
シ淵で撮影したものだが、水量が少なかったせいか、谷の向こうにニコニ
コ滝が写っていない。