津軽紀行 マルメロの村 袰月

 

 

 

 

方言詩集『まるめろ』

袰月(ほろづき)という土地の名を知ったのは、詩集『まるめろ』を読んだ
ことによる。
詩集は神田の古書店で写真集『にっぽん劇場写真帖』とともに買い求めた。
『にっぽん劇場写真帖』 は写真家・森山大道氏のサイン入り初版本であったが、
とうの昔に友人 に上げてしまった。いまではこの写真集は相当に値上がり
(100倍!)をして いて、高値で取引されているようである(まるで合鹿椀では
ないか)。惜しい ことをしたものである。後に知ったのだが、撮影された街は、
奇しくも私の母 が80年前に青春時代を過した街でもあった。

で、肝心の詩集の話だが、こちらの方は未だに所有していて、ソノシート
が巻末に付いているのでたまには聴いている。方言詩なので作者の声を聴か
ないと多くの情報が伝わってこないのである。『まるめろ』の作者は高木恭造
氏である。さだまさしが父のように慕っていた人であるが、故人となって しまった。

詩集を読み(聴き)、一度は袰月を訪ねてみたいと思っていた。

 

 

 

 

袰月へは、津軽半島最北端の駅、三厩(みんまや)から海沿いの雪道を
二時間は歩いたであろうか。集落は北に津軽海峡、道路をはさんで南側
には山肌にへばり付くように家が立ち並んでいた。詩集で読んだとおり
日当たりは悪そうであった。よりによって何故このような土地に住むこと
を選んだのであろうか。
集落の入口でお年寄りが歩いてくるのに出会った。集落を往復してもこの
方にしか出会わず、侘びしいところという印象が強く残った。

 

 

 

 


陽コあだネ村

――津軽半島袰月村で

この村サ一度だて

陽コあだたごとあるガジャ

家の土台コアみんな潮虫ネ嚙れでまてナ

後ア塞がた高ゲ山ネかて潰されで海サのめくるえンたでバナ

見ナガ

あの向の陽コあだてる松前の山コ

あの綺麗だだ光コア一度だて

俺等の村さあだたごとあるガジャ

 

・・・高木恭造『まるめろ』より一部抜粋

※方言詩「陽コあだネ村」他は you tube でご覧になれます